No.307
「……こんな別れも、あるのかよ」
「所詮俺たちは物でしかないからね……こんな別れだって、あるんだよ」
「……おい光忠、お前やけに物わかりがいいじゃねぇか。お前にとって俺はその程度のもんなのかよ!なあ!」
「……そんなわけは、ないよ。だって君は日の本一の槍で、俺たち福島の家の誇りだ。正則以外の誰かの手に渡るなんて考えたくもなかった」
「なら…!」
「それでもやっぱり俺たちは物なんだ。物でしか、ないんだ。人の世界の都合に振り回されるものなんだ」
「……そうかよ」
「大丈夫。君ならどこへ行っても上手くやれる。日の本一の、愛されるべき槍なんだから」
「……まあ、そうだな。うまくやってやるよ」
「そう、君に俺は必要ない」
「……何もそこまで言うことじゃねぇだろ」
「ねえ、もしも君が許してくれるなら、俺のことを、友として心に残してくれないか?」
「そんなもん、当たり前だろ」
「……そう、よかった」
「……お前こそ、忘れんなよ」
「忘れないよ……忘れられるわけ、ないじゃないか」
「……そうか……なあ、光忠」
「何だい?」
「誓いを立てるぞ。この先いつか再び出会うことがあれば、その時はまた友として俺たちは共に在ろう」
「わかった、では」
「「我ら、幾星霜を経ようとも、再び見える時は友としてあると誓おう」」
「……それじゃあ、お別れだね。ほら、そろそろ行かないと」
「最後まで素っ気ねぇ奴だな。まあ、それでこそお前だが」
「さようなら。新しい土地でも健やかで」
「お前こそ達者でな。あのどうしようもない主人を助けてやれ」
「言われなくても」
「……結局、涙のひとつも見せなかったな」
(よかった君の門出に無様を晒さなくて、本当によかった)
((我が最愛の友よ))
((それでも俺は愛しているから))
((いつかまた、お前/君に会えるといい))
3「永遠の誓いさえ忘れて」#記憶より深く刻まれた愛
「所詮俺たちは物でしかないからね……こんな別れだって、あるんだよ」
「……おい光忠、お前やけに物わかりがいいじゃねぇか。お前にとって俺はその程度のもんなのかよ!なあ!」
「……そんなわけは、ないよ。だって君は日の本一の槍で、俺たち福島の家の誇りだ。正則以外の誰かの手に渡るなんて考えたくもなかった」
「なら…!」
「それでもやっぱり俺たちは物なんだ。物でしか、ないんだ。人の世界の都合に振り回されるものなんだ」
「……そうかよ」
「大丈夫。君ならどこへ行っても上手くやれる。日の本一の、愛されるべき槍なんだから」
「……まあ、そうだな。うまくやってやるよ」
「そう、君に俺は必要ない」
「……何もそこまで言うことじゃねぇだろ」
「ねえ、もしも君が許してくれるなら、俺のことを、友として心に残してくれないか?」
「そんなもん、当たり前だろ」
「……そう、よかった」
「……お前こそ、忘れんなよ」
「忘れないよ……忘れられるわけ、ないじゃないか」
「……そうか……なあ、光忠」
「何だい?」
「誓いを立てるぞ。この先いつか再び出会うことがあれば、その時はまた友として俺たちは共に在ろう」
「わかった、では」
「「我ら、幾星霜を経ようとも、再び見える時は友としてあると誓おう」」
「……それじゃあ、お別れだね。ほら、そろそろ行かないと」
「最後まで素っ気ねぇ奴だな。まあ、それでこそお前だが」
「さようなら。新しい土地でも健やかで」
「お前こそ達者でな。あのどうしようもない主人を助けてやれ」
「言われなくても」
「……結局、涙のひとつも見せなかったな」
(よかった君の門出に無様を晒さなくて、本当によかった)
((我が最愛の友よ))
((それでも俺は愛しているから))
((いつかまた、お前/君に会えるといい))
3「永遠の誓いさえ忘れて」#記憶より深く刻まれた愛
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